作品への熱が冷めたわけではないけど、そろそろ2ヶ月近く経って
多少は冷静に評価できるようになってきただろうと言うことで
シンフォニック=レインに関する私的評価のまとめをば。
とりあえずまずはネタバレ極力なしでの客観評価を。
各要素ごとに個別でレビューっぽく。

  • 音楽

この作品の大きな売りの一つ。全曲岡崎律子さん作詞作曲のBGMは
作中の雨の街という設定に良く合い、世界観の構築に役に立っている。
そして何より、各キャラクターの心情とシナリオ展開とシンクロした挿入歌の出来が珠玉。
各シナリオを終えた後だと、歌詞に込められた想いの意味に気づいて
より一層曲に対する思い入れが深まし、OHPのスタッフコメントにもあったけど、
岡崎さんがどれだけ作品のことを想い、理解した上で曲を作っていたかが感じられる。
岡崎さんファンの人なら音楽の為だけでも買う価値あると思うし、
ゲームをやらずにRAINBOWを聞いてるだけの人たちにもゲームに触れてほしいと思う。


  • CG

おそらく評価が別かれやすいだろう部分。これに関しては実際に紹介ページでサンプル画像を見るのが
早いだろうからそれで判断するのが良いでしょう。全般に柔らかいタッチで幼めな絵だけど
個人的には作品の雰囲気にはあってて良かったんじゃないかと判断。
キャラの描き分けが甘いところは若干気になったけど、まぁ許容範囲。
CG枚数は総数40枚前後と若干少なめ。ただし必要と思える場面には大抵そろってたから
特に不満を感じる部分でもなく。ただ、通常の背景はかなり丁寧でレベルが高かったものの
イベント絵の背景がやたら淡泊な塗りで描き込みが足りてない印象だったのはマイナス。
立ち絵に関してはパターンも比較的多く、かつ立ち絵や表情変更のタイミングが上手くて、
キャラクターの心情描写に役立っていたのは好印象。


  • ボイス

この作品の特性上、ヒロインに関してはまず歌が上手い人であるって条件があるわけで。
それを満たした上できちんとキャライメージにもあっていたしこの選択は理想的かと。
他のキャラも基本的にイメージにあってたし、声に関してはほぼ問題なく。
クリスの声のみは流石にあわねぇと思いましたが

  • システム

演奏パートの結果で分岐することもあるのに、演奏パートが何時はじまるかは
AVGでの会話内容で判断するしかなく、開始前の事前Saveがしにくいとか
演奏パートを自動成功に設定して、スキップしたいときもいちいち演奏前の曲データの
Loadを飛ばせないとか細かい部分で気になる部分はあったものの、
基本的に必要な機能は大体揃ってるので総合では可も無く不可もなくといった印象。
システムとは少しはなれるけど、一番の不満点はスクリプトミスが多すぎること。
誤字脱字の数がかなり多く、それも一読しただけで気付けるものが大半。
校正を行っていなかったのじゃないかとしか思えないレベル。また、時刻表示に関しても
きちんと管理できてない部分が多かったので、この部分に関してはパッチでの改善を強く希望する所。

  • MUSICパート

基本的音ゲーとかしないタイプの人間なので他と比較してどうかは評価できず。
ただ音の高低とキーボード上の位置が対応していて、割りと実際に楽器を演奏してる気に
なりやすかったり、ゲームの進行に合わせて自分も曲の演奏が上手くなっていけると
シンクロできて楽しいとか、単なるゲーム性だけでなく、シナリオを楽しむ上でも
プラスの効果があるのは大きい。
演奏パート単体でも難易度調整があるからこういうのが苦手な人間でも、
インターネットランキングで上位を目指す等のやり込みもあって楽しめるものだったかと。


  • シナリオ

最重要項目だけど、それ故にネタバレしないで書くのが一番難しい所。
初期状態で主人公が彼女持ちという段階で、鬱展開が避けられないのは
ある程度予想できるだろうけど、実際にはそれを越える重さを持っている。
単に明るくキャラ萌えしたり笑ったりできるシナリオを期待してるならお勧めは出来ないけど、
人の心の明るい面だけでなく、心の裏側やほの暗い側面まで踏み込むからこそ描けるものがあるわけで。
途中で鬱になったり、納得できない思いを抱えたりすることはあるかもしれないけど、
最後まで終えれば、決して暗かったり鬱になるだけの作品ではなく、きっと何らかの心に
残るものがあるだろうと信じられるので、興味を持たれたなら是非に触れて貰いたいと思う作品。