総評といっても、『パルフェ』っていう作品の総合評価というよりも
自分の中で他の数多の作品と比べてどんな位置づけにあるかみたいな方向で。

色んな意味でショコラがなければパルフェは存在しえないわけで、
ショコラとの比較は避けて通れないんだけど、この辺は以前の感想でも
触れてはいるので今回はさっくりと。
結局、自分の中での『ショコラ』の位置づけは、他の諸々の欠点全てを
吹き飛ばして、「香奈子さん」の存在のみで、歴代でもTOPクラスの思い入れを
抱いた作品っていう、完全一点突破型だったわけだけど、
パルフェ』はショコラの欠点をことごとく改善された結果、
作品を構成する個々の要素がどれも高いレベルでまとまった
極めて高い完成度でもって評価される作品でショコラとは対照的。
この完成度の高さに加えて、活き活きとしたキャラクター達の魅力と
掛け合いの面白さによる日常の楽しさは、いつまでも作品世界に浸っていたいと
思え、また、コンプ後も最プレイを続けていたいと思わせるだけのものがある。

作品トータルの出来で評価するなら圧倒的にパルフェだけど、
最大破壊力を比べればショコラだし、より楽しかったのはパルフェ
どちらが良いとは甲乙付けがたいけど、どちらの作品も自分が大好きで
極めて深い思い入れがあるのは確か。

他作品との比較でも、客観的な物語の出来自体で言えば、両作品より
高く評価している作品は結構あるけど、こと思い入れに限っていえば
同クラスの作品でさえ片手で数えられる位であり、
これらを越える思い入れがあるのは『僕と、僕らの夏』と『シンフォニック=レイン』の2本のみ。


この2作品、特にシンフォニック=レインに関しては、今まで散々語ってきてはいるけど、
他作品との決定的な違いは、おそらく感情移入の度合い。
あと、この2作品にあってパルフェとショコラに欠けていたのが、
特定のヒロインが救われるだけでなく、それぞれの登場人物の想いが報われて
皆の未来に思いを馳せられる『自分にとっての』最良のENDがなかったこと。

たとえば僕夏は、そもそも個別エンドの位置づけが対象となるヒロインじゃなくて
別のキャラの心情―それも主に失恋の―を描く方がメインっつー、特殊な構成をしてたってのもあるけど、
どのエンドでも、それぞれの登場人物が『最後の夏』を通して得た「何か」と、
それによる成長が描かれていて、それらがひと繋がりになってのグランドエピローグは、
登場人物一人ひとりにとってかけがえのなかった『僕と、僕らの夏』が感じられ、
最後の締めも、未来へと思いを馳せられる爽やかなENDだったわけで。

シンフォニック=レインは、自分の場合「あの世界で奇跡は起きない」としているってのと
ファルとリセに関してはDPCの「いかさまコイン」で補完するってのが前提としてあるけど、
その上でみた真トルタENDは、彼らに関わった色々な人や、当事者3人がそれぞれに
抱えていた想いを受けてやっと辿り付いた結末として、本当に感慨深いENDだったので。
まぁ、個人的にトルタへの思い入れが桁違い大きすぎるからってのがでかいんだけど。


ショコラにしろパルフェにしろ、設定上スタート時点で明らかに他ヒロインと異なる
「重さ」をしょったヒロインがいるわけで、そのキャラのENDが全体のTrueエンドにも
思えるけど、それでもなお、思いの切り捨てられるヒロインは別にいるんだし、
その辺りへのフォローも十分だったわけではないし。
まぁ、いわゆるギャルゲフォーマットの複数ヒロイン制が問題とか
個別ENDで他キャラへのフォローし過ぎても話の焦点が定まらないとか
しょうがない部分があるのは分かるんだけど、
「その先」が見れるかどうかは個人的には大きいっていうことで。

丸戸シナリオの作品だと、基本的に一本道っていうこともあって
「VG.NEO」が大団円でかなり満足に近いENDだったんだけど、
無駄に次回作を意識したような、消化不良部分が残るラストだったのが痛かった。
丸戸テキストでのキャラ立ちがあった上で、全員のそれぞれの想いが
ある程度きっちり報われた上での胸のすく様なENDってのを一度見てみたい。