『車輪の国、向日葵の少女』

某批評空間で良きにつけ悪きにつけ話題になっていたのと、
メーカーの前作は評価散々だけど、シナリオライターの前作は
結構面白かったのでまぁ、やってみる価値あるだろうてと言うことで。

んで既にコンプしてるわけですが、とりあえず一番大きな感想は
「騙されたっ!」に尽きる。もちろん良い意味でだけど。
かつて自分が勧めまくった某EとかSで始まるゲームと同ベクトルの衝撃よな。
完全にライターの手のひらの上で踊らされてた訳だけど、まぁよくぞ騙してくれたって感じで
不快感はないってーかあのシーンの衝撃は凄かったし、面白かったとは思う。
その性質上例によってネタバレされちゃうと魅力半減な作風だし、どこでネタバレ食らうか
分からん雰囲気もあるので、賞味期限は短そうなので興味のある人はネタバレされないよう
早めにプレイしておくのを推奨ということで。


ただ、作品トータルで評価すると上記の部分の衝撃は確かに凄かったけど、
冷静に考えると、ツッコミ所色々あるというか、フェアなやりかたじゃない設定ともいえるし
一番盛り上がった場所以降は尻すぼみで終盤の展開が間延びしてだれた印象があったり、
実質一本道の癖にヒロイン3人のシナリオがほぼ完全に独立してて
途中のヒロイン同士の関わりが薄すぎて後半の友情モノとして説得力がイマイチとか
個人的に引っ掛かる部分が多くて私的傑作評価には届かない感じ。


まぁ、それでもヒロイン個別のシナリオは所謂感動モノとして
抑えるべき所はきちっと抑えているので(特にBGMの効果大)そういうツッコミ所は
深く考えずに勢いで流せば十分に感動できて楽しめたのは間違いない。


ただ、この作品がもつ色々な要素に関して、
例えば、世界観のひっくり返し方ならそれこそ某Eや某Sの評価の方が圧倒的に上だし、
田舎舞台の友情モノとしては「てのひらを、たいように」ってそのものズバリがあるし
架空の社会システム構築の拘りっぷりじゃ「群青の空を越えて」に敵わないし、
感動モノとしても悪くはないけど、トップクラスって程でもないって感じで
自分の中でより思い入れがあって高評価してる作品と比較されちゃったのが
運の尽きだったっぽい。良い作品なのは間違いないと思うけど、その先の一歩ってのがなかった。