カタハネ

そんなわけで、「カタハネ」のコンプ感想。
ひなたぼっこの悪評は聞いていただけに発売前はスルーしてたんだけど、
各所での評判の高さや、雰囲気的にかなり好みっぽい上に
この手の群像劇ものは大好きなんで購入。
結果的に予想以上の大当たりというか、思いっきりツボにはまった。


直前にやってた某エセ天体観測ゲーがプレーヤー負荷高くて
消耗してたこともあって(これはこれで面白くはあったんだけど)、
世界名作劇場でワンダープロジェクトな世界にまず癒される。
CG、音楽、背景が個々のレベルが高い上に、お互いが一体となって
作り出してるこの雰囲気がたまらなく良い。


前半のシロハネ編はとにかく、ストーリーよりもこの雰囲気に浸って、
登場人物達の掛け合いを眺めるだけで十分に楽しめた。
そして、登場人物があらかた出揃った所で始まるクロハネ編。
前半こそコミカルな展開も多いものの、後半は歴史の流れに翻弄される
登場人物達と、既に起こってしまった過去故に変えようのない悲劇が描かれる。
ベタと言えばベタだけど、舞台と登場人物が絞られている分ストーリーの純度は高く、
クロハネ編単体でも高いレベルで纏まった一つの作品として十分に感動出来るデキ。
ただ、クロハネ編がそれなりに長くて重かった反動でクロハネ編が終わって、
シロハネ編に戻って来ると、そのあまりの明るさとのギャップがキツイ。
シロハネ編の後半は色んなイベントがちょっとあっさり流されすぎてるきらいがあるし、
最大のポイントかと思ってた劇自体も練習も本番もそれ程の盛り上がりもなく
終わっちゃってやや拍子抜け。なまじクロハネ編が良かっただけに、
本来クロハネ編を受け止めた上でまとめなきゃいけなかったのに
シロハネ編が支えきれなかった印象。明らかに放置されてる伏線とかも残ったし。
まぁ群像劇としてキャラクターそれぞれに思い入れを持てて好きになれたし、
とにかく雰囲気は良かったしで充分以上楽しめた良作ってのは間違いない。


ってのが1周目を終えた所まででの感想で、2周目はほとんど共通ルートな上に
1周目以上にあっさりしたENDでなんだかなーって感じだったんだけど、
3周目の最終ルートなココ編がもう全てを持ってった。
ここまで無視されてきた伏線とか、あえて描かれてこなかった部分が明らかにされ、
クロハネ編とシロハネ編が一本に繋がり、明かされる真実の過去と、
託された想いがバトンされ、紡がれる未来。


「一つの物語は終わりを告げ、過去から未来へ― 全ての物語は“ココ”から始まる―」


っていうOPのキャッチコピーを体現し、“ココ”から始まる登場人物達の
これからに想いを馳せられるエンディング。
EDムービーも、曲自体もクオリティ高くて、更に歌詞の意味を理解すると胸が打たれる。
間に挿入される二人のやりとりも憎い演出だし、最後の一枚絵の選択もこれしかないって感じで感極まる。
1、2周目で抱いていた不満を全部吹き飛ばして、ホント満足の行く終わり方。

個人的な「最高傑作」クラスの条件として、(主人公とヒロインだけじゃなく)
登場人物達それぞれの、その作品が終わった後の未来に想いを馳せられるってのがある
(「シンフォニック=レイン」、「僕と、僕らの夏」、「天に高く地に深く」、「BITTERSWEET FOOLS」とかみんなそう)
のだけど、そいういう点でこの「カタハネ」もこれらの作品に並んで最終評価的に私的ベストのトップランクに入る位。
いや、ホント想像してた以上に良い作品に巡り会えて幸せ。
まだ始まったばっかだけど、今年の私的ベストはほぼ当確というか鉄板だ。