『悪の教科書』

元々去年の10月頃に体験版(一章)の感想を某所で見かけて気にはなって
年末にコミケで配布&DL開始みたいな情報見て、完結したらやろうと思ってたわけで。
年始にDLしに行ったらサーバーが飛んでて、回復した頃に落としてはみたのだけど、
ちょいと余裕がなくて放置してたら、なにやら想像以上に話題になってたようで。
とりあえず、一日一章づつちまちま進めてようやくクリアしたので感想を少し。


「社会批判ノベル」と銘打たれてはいるものの、社会批判の部分は
正直ちょっとその辺の分野に興味を持って調べれば比較的簡単にわかるレベルのものだし、
一部分野への切り込みの甘さや、見積もりの違和感とか色々あったけど、
あくまでも、考えさせるきっかけや、現役中高生とかへの啓蒙がメインらしいので
そこは突っ込のむのも野暮な話かなと。
まぁ、最終章のエピローグの誤用の方のご都合主義的というか甘く見すぎだろって展開は
作者が理想を描きたかったと考えてるなら仕方ないのかもしれないけど、
それでも気になったというか、実際にエネルギー問題や地球温暖化関連の研究してる身としては
「そんな簡単に解決するなら苦労せんわ!」という気持ちがこう沸々と沸いてしまったのだけど(笑)


その辺はとりあえず置いて於いて、個人的には単純にノベルものとして十分に楽しめた。
一章は序盤から中盤まで面白みのない展開を延々と描写されて、演出部分のスキップの効かなさと
あいまって相当ストレス溜まる所はあったんだけど、後半は是非はともかく展開的には納得の行く話になったかな
って位の評価だったんだけど、続く2章がもう私的に好み過ぎな話で評価大幅アップ。
つか、アネモネの君がかわいいというか格好良すぎです。大切な人たちを守る為にする「覚悟」とか
ストライクゾーンど真ん中過ぎ。ストーリー的にも1章の展開をきちんと受けた上で
非常に綺麗に落としていて後味も良く余韻に浸れる。とりあえずアネモネの君こと宇佐美聖は
正直去年出たゲームって括りなら今のところ一番好きかも知れない(去年やったなら片桐恵@「鎖」がぶっちぎりだけど)


んでそれ以降は、3章は十分面白かったけど(ネタバレ避ける為に多くは語らないけど、一言で言えば『3章は人生』)
4章以降はちょっとパワーダウンした感じ。4章はまだ悪くはないけどちょっと掘り下げが甘い上に
電波入っちゃた雰囲気だし、5章は上で書いたようにご都合主義というか、この手の話で
「答え」を直接示しちゃうとどうしても安っぽく感じちゃったけど、
「先生」という1人の主人公の物語としてみた場合には、これで一応きちんと完結してるので、
ノベルとして楽しむという観点で言えば、不満点もあるけど十分楽しめたというところで。
ただ、やっぱりピークは3章だったんで、ノベルとしても後半もうちょっと上手くやれなかったのかなという感は残った。


それでもぶっちゃけ2章が自分にとって好みすぎるキャラ&展開だったのでそれだけで相当な高評価だ。
以下ちょっと2章のネタバレ感想。


上でも言ったけど、ああいう「覚悟」が大好物だし、あのシスターの格好良さというか
「お前の周りの世界は お前が考えるよりもちょっとだけ優しいんだよ」(Fromパルフェ
的な展開にも非常に弱い。リサとのほんのり百合風味な友情も良く書けてたし、
ラストも非常にベタベタな展開のハッピーエンドなんだけど、だからこそ良いというか
つまり 〜アネモネの君かわいいよアネモネの君〜 ということで一つ。
つか、本当はこの上なく真面目な作品に対する感想なのに、
こんな酷い感想しか書いてないってのもアレだ(笑)


今更だけど真面目なことも言うと、多くの人に触れて貰う為に(あと、表現上の規制を減らす為)あえて
フリーにされてる作品らしいし、実際考えさせられる部分も多い(と言うか考えずに無条件に受け取るのは危険)ので、
興味があったら是非触れて見て欲しい作品ではある。