結局実績集めに入る前に、再プレイの2周目をほとんどスキップなしでまた最後まで突っ走ってしまった。
元々伏線バリバリの造りだし、2周目だからこそ分かるという部分も多いので、
典型的な2周目で更に評価が上昇するタイプの作品ではあるのだろうけど、
それにしても自分で思ってた以上に2周目にも引き込まれて、
終盤の各END迎える頃の感動具合や余韻ですら一周目を上回る感じで
この一週間ずっとこのゲームのこと考えていたようなものだし、
ゲームクリア直後よりも自分内部での作品評価も未だに高まり続けてる。
ED曲聴き返すだけで泣ける程入れ込んだ作品なんてホント数える程だし。
少なくとも現時点じゃそういった私的最上位の作品と並ぶほどの評価という事で。


とりあえず、色んな所で言われてることと被る内容で目新しさも何もないけど、
ネタバレ抜きの感想で未プレイの人に向けて言う事としたら、


・極力情報をシャットダウンした上で(公式サイトすらチェックせずに)触れてみてほしい作品
厨二病な主人公やネットスラングバリバリの日常会話に耐えられて、
この手のノベル・AVGタイプのゲームに抵抗が無い様であれば
XBOX360を所持済み → とっとと買ってやって損はない
XBOX360を未所持
  → PS3移植はなさそう、PCかPSP移植はあったとしても1年以上先ってのと
ネタ的に割と鮮度があるものを扱ってるので"今"やるのがベストっぽいというのを元に判断どうぞ。
特にループものやSF系、伏線モノが好きなら本体ごと買っても後悔しない事もあり得る(Ex.オレ) 辺りで。


あんまり好きなやり方じゃないけど他の作品として比較して言うと
良く引き合いに出されるEver17と比べたら終盤の一撃の破壊力や衝撃は劣るけど、
ゲーム全般を通しての中弛みのなさと面白さのアベレージは明らかにシュタインズ・ゲートの方が上。
特にエンターテイメントとしての完成度の高さでは、
自分がコレまでやってきた全AVG/ノベルゲームの中でも間違いなく最上位候補の一つなので、
ハードの制約的に厳しいところはあるだろうけど、より多くの人に触れてほしい作品といったところで。


以下はネタばれ感想
この作品に関しては、既に十分感想も出そろっているみたいだし、
エンターテイメントとしての完成度が高い分、
枠を外れた自分だけの受け取り方が生まれる余地が少ないので
あんま詳しいネタばれ感想書く気力はないのだけど、
折角久しぶりに日記更新に至る閾値を超えた作品なので一応書いておく。
2周目まで終えて思う事は、SF的なガジェットや厨二病やら2ちゃんネタとかの修飾部分を除いた
ストーリーの骨子としては、特に目新しかったりするものでもないなと。
「偶然超常的な力を手に入れた主人公が、調子に乗ってそれを使った結果しっぺ返しを食らい、
それを反省して努力した末にハッピーエンドに辿り着く」ってのは古典的な話だろうし。
TrueEndの結末にしたって単体で取り出してみればベタベタである陳腐なものだけど、
そこに至るまでに積み重ねたモノがちゃんとあるが故に納得のいくものになっているというか、
イデアとかテーマ性が凄いとかじゃなくて、かなりの部分が計算づくでエンターテイメントとしての
完成度を上げる為にシナリオと演出が徹底的に丁寧に作られて積み上げられてるが故という感じで。


特にプレーヤーと主人公のオカリンとの心情のシンクロに関しては、相当気を使ってたんじゃないかと思う。
前作のカオスヘッドと違って第3者視点一切無しで地の文含め最初から最後までオカリンの主観のみで
進行する点に始まって、受動的な選択肢表示からの選択ではなく、フォーントリガーシステムでの携帯を使って
PL自身の意志で"その世界とヒロインの記憶"を無かった事にするという重荷を背負う選択をさせる構造とか、
TrueEndルートに自力で入るために必要な何度も何度もの"繰り返し"がタイムリープを重ねたオカリンに被るとことか。
個人的には、9章ラストのエシュロンからDメールの痕跡を削除する場面で、事前に気付かいてなかったおかげで
丁度オカリンと同じタイミングでその行動が意味することに気付いて絶望するってのが出来たのが良かった。
そういう流れがあるからこそ、まゆり・クリスENDでの最後のあの選択をするオカリンに感情移入が出来る訳で。


そして、その先のTrueEndルートにおいて、それまで苦悩の末に様々な人の思いや存在を"無かった事"にしながら
歩んできたこれまでの選択は、この先の"シュタインズゲート"に到達するために必要だったものであり、
これまでのその苦渋の選択は"無かった事にしてはならない"ものであったと提示される流れは、
PLと主人公双方の抱えた罪悪感を打ち消し、大団円への希望を与えるっていうにくい演出だったなぁと。
また、単純に未来オカリンの口から出た台詞というだけでなく、実際にその積み重ねが無かった事になってないが故に
ラストシーンのあのクリスの一言に繋がっていることで実感できるのも良かった。
正直Trueルート自体の展開は結局主人公の主体的な行動というより言われた事をただなぞっただけ的な所があって
水準以上には楽しめても、残念な所も残ったのだけど、シュタインズゲートに到達して以降の、
登場人物それぞれが新しい一歩を踏み出したことが感じられる各々のラボメンバッジの配布シーンと
最後の最後のそれまでの展開と想い全てを受け止めてのあの万感の邂逅シーンでもう些細な不満はすべて吹き飛んだ。
大団円としてのエンディングの満足感と心地よい余韻という意味では本当に歴代でも最高レベルのEDだった。
クリアしてもう一週間以上経つけど未だに他のゲームに手が出せないで余韻に浸り続ける
いわゆる「賢者モード」が発動し続けてるのも久しぶりだ。


まぁ、その辺の個人的思い入れは置いておいて、割と客観的に言える部分でこの作品で凄いと思ったところは
作品を物語るプラットフォームとしてのビジュアルノベル系という媒体だから出来る事をきちんとやったところ。
クリア後に改めて聴くとシナリオの内容とあわせてその真意が読み取れるようになって、
より一層思い入れの深まるOP,EDテーマとか(クリアして速効CD買っちゃったよ)、
クライマックスでかかる主題歌フルバージョンとか定番だけどそれ故やっぱり効果的だし。
この作品ならではの演出だとやはり欠かすことのできないのはフェイクEDのあの演出。
先駆者は他にもあるらしいけど、タイムマシンって言う題材との親和性も良かったし、
途中までクリスENDと完全に同じで「失敗したかな?」と思わせたところでの
携帯着信から新しい希望の提示、そしてって流れが実に良かった。
あとはハードがX−BOXであるからこそ出来たエピローグに入ると同時にあのボコンと共に表示される
"シュタインズゲートに到達しました" っていう実績解除の表示すら利用した演出には脱帽。


そんなこんなで個人的な評価のまとめとしては、爆発力こそ最上位群には及ばなかったものの、
ひたすら感情移入度が高められた上でのあのラストシーンの美しさがもたらした余韻の良さだけで
それを補って余りある位の評価って事で。
一人称視点故他のキャラの掘り下げはやや浅いけど、一応私的な魂の作品に必須条件の
登場人物それぞれのその後に思いが馳せられることって点もクリアしてるし、
何より登場キャラクター中で主人公とメインヒロインが好きなキャラの2トップで、
ラストシーンがそれまでの数々の障害を乗り越えて二人が報われたシーンだっていうんだから
それで評価しない方が嘘だろうという感じで。いやホントあのエンディングは大好き。