結論
負け戦萌えなら買っとけ。あと早狩シナリオの地に足ついた人間ドラマが見たい人。
下でうだうだ長文書いてますが、言いたい事はそんなとこで。


つか、僕夏はプレイした人間の評価こそ高いものの、実際の売上は
当時のlight作品最低だったつー話だから、これで群青も売れてくれないようだと
早狩シナリオで今後も作品作らせて貰えるようにする為にも
少しでも多く売れてほしいっつー本音。


・んで総評
前回までは主観評価中心に書いてたので、
客観評価に近めでの総評を。ネタばれは基本的には控える方向で。


とりあえず前情報でも分かりきってたことっぽいけど、普通のエロゲのような萌えを期待するのは無理だし
空戦ものとしてもドッグファイトとか殆どないし、3Dムービーも派手な空戦シーンとかはないので
そういうのに期待する人は他のゲームでもやってて下さいという感じで。


逆に、(グランドルートを除けば)あくまで、戦争という舞台背景での
登場人物たちの人間ドラマがメインであり、その部分は、過度のデフォルメとかなしに
キャラクター一人一人がしっかり地に足のついた人間として丁寧に描かれているので、
その部分に期待しているのであれば、買って後悔すると言うことはないでしょう。
ただし、基本的に大団円のハッピーエンドとかは殆どないし、戦時下が舞台なだけに
鬱方面のイベントも結構多いので、その手のが苦手な人は注意。
あと、グランドルートも含めて、投げっぱなしとまでは言わないけど、
最後まできちんと全て描くってのではなく、あとはプレーヤーの想像に委ねるような
エンディングになってるのも結構あるのでその辺は評価が分かれそう。


軍事ネタはライターが好きなだけあって多めだけど、単なる雰囲気として流して問題ないし、
その手の知識がない人でもプレイに支障はなさげ。
むしろ近現代の政治・経済関係の知識の有無のほうが
グランドルートを十分に楽しめるかどうかには影響大きそう。


シナリオ構成は最初にメインキャラ3人をクリアしすると(順不同)、
サブキャラ2人のルートが開いて、5人全員クリアすると最後のグランドルートが始まるという形。
それぞれのシナリオの位置付けを考えると、最初の3人のシナリオが、
軍の内部において奇麗事で済ませられない戦争の現実を突きつけつつも、
それぞれが自分の置かれた立場や、人との関わり、自分自身の信念などから
ら戦わざる得ない理由・戦う姿を描いていて、サブ2人が非戦闘要員から見た戦争と
この理念なき戦争においても戦うことの意味を再び問うていて、
ラストのグランドルートではこの作品の核であり全ての始まりでもある
「円経済圏構想」の真の姿を示し、その実現に向けての戦いを描く。


それまでのシナリオ(特にメイン3人)があるからこそ、
グランドルートを単なる理想論で片付けさせずに、よりその実現への想いを募らせられる
ということでは、上手い構成だとは思うけど、後半に行くに従って、政治ネタの割合が増えて
人間ドラマや戦争モノの密度は薄まっていくので場合によっては消化不良を起こす危険もあり。
特にグランドルートの最後が人間ドラマとしての着地を完全に投げちゃっているので
そっちに注目していた場合置いてきぼりを食いかねない。
個人的にはあの終わり方でも不満はないけど、もうちょい人間ドラマの方でも
余韻を残す終わり方に出来なかったものかなとも思う。


「信者とアンチしか作らないゲームを目指した」ってあったけど、実際のところは
アンチを生むよりも、そういった部分で納得できなくて惜しいと思う人間を生む率のが高そう。
ま、自分はその辺を認めた上での信者になってますが(笑)


とりあえず、昨今のエロゲの流行を完全に外しつつも、自分のやりたいことをやり遂げた
ライターの早狩氏と、こんな設定で作品を自由に作らせて販売することを許したlightの偉い人は
素直に賞賛したいと思うし、この作品をプレイできて良かったと思うって辺りで締め。