『ニライカナイをさがして』

ニライカナイをさがして (富士見ミステリー文庫)

ニライカナイをさがして (富士見ミステリー文庫)

先日に続いての短編新規開拓第2弾。今回はシリーズもの持ってて
既に結構評価されてるらしい作家さんので。

青春ロードムービー風なボーイミーツガールものっていう評判と、
あれ、『天に高く地に深く』?って感じの表紙に惹かれての購入。


感想は、本当に直球ど真ん中にボーイ・ミーツ・ガールだなぁという感じで。
突然の出会いと、出会いによる、日常から非日常への急激な転換。
徐々に明らかになっていくヒロイン側の事情と、それを知ることにより惹かれていく主人公とか
意外性はあまりないけど、その分教科書的に手堅くて、お手本のような作品。


伏線もきちんと張られてたし、舞台となる沖縄の情景描写もヒロインの魅力も上手く描けてる。
最後まで楽しんで一気に読めたし、ラストも「ボーイ・ミーツ・ガール」っていう枠に
きっちり収めてまとまっているので読後感もよくて余韻に浸れた。
大きな破壊力とか意外性とかには欠けるけど、うん、面白かった。


ただ、これ読んでて実感させられたのが、自分は「ボーイ・ミーツ・ガール」には殆ど思い入れなくて
「ガール・ミーツ・ボーイ」が好きなんだなーってこと。結局ヒロインのリカがタクローに出会い、
ニライカナイへの旅を通して、変化し、救われていった過程が好きなんであって、主人公側の方は
ぶっちゃけどうでも良かった。だから、旅の終焉以降の一悶着とか、主人公の正体とかは
個人的にはなくても問題なかったなー。ってーか、主人公に関してはラスト間際の犯罪まがいの行動が
犯罪以前に、その職に携わる人間がそれをやっちゃ駄目だろうって受け入れられなくてマイナスだった。
あと細かな点では、あんくらいで旅行会社がスキャンダルになったりしないだろうとか思ったけど、まぁ些細な部分か。
とりあえず、「ガール・ミーツ・ボーイ」ものとして読んで非常に良くできてて楽しめたので良かった。
この路線だと「送還直前即興曲R」以来に楽しめた